タップダンスについて知っておくべきこと

モダンダンスに分けられるタップダンスは、タップスという金属板の靴底の靴を履き、床を踏んで音を鳴らしながら踊るのが特徴です。ダンススタイルはリズムやミュージカルタップが主流で、前者はビートを重視したリズミカルなダンス、後者は音楽性を重視するダンススタイルです。特に、ミュージカルタップはタップダンスの基本といえるタップに加えて、全身を使って表現する点に特徴があります。曲に合わせ表現するダンススタイルなので、リズム感とダンスのスキルが求められます。
いずれのダンススタイルにおいてもリズムは重要ですが、それはアメリカ南部における、黒人のダンスにルーツがあるところが大きいです。タップダンスで金属板の靴を履いて踊るのは、1739年のサウスカロライナ州の暴動発生によって、黒人が集まる場でのドラム演奏が禁止されたのが理由です。ドラムが使えなくなった黒人たちは、足を踏み鳴らすことでリズムを取ったわけです。これがタップダンスの成り立ちで、ドラム演奏が解禁された後も靴底で音を鳴らすスタイルが残りました。
日本だと競技人口は少ないですが、世界的には競技ダンスの大会が開かれ、中でもドイツの大会が注目を集めます。日本からも出場者が見られるので、決して競技者が少ないわけではなく、レベルが低いというのも違います。歴史が古く世界中の人達を魅了しているダンスなので、著名なダンサーの中には日本人の名前もあります。また、映画のモチーフに用いられたり、表現方法の1つとして作品に取り入れられることも珍しくないです。
このダンスが現在の形になったのは、19世紀にニューヨークのスラム街でダンスバトルが行われ、ヨーロッパとアフリカ系のダンスの融合が進んだことが転機の1つです。タップダンスの名前が記録に残っているのは、1900年代初頭の文献が最も古いので、それまでは名前がなかったか別の呼称で呼ばれていました。名称が定まりダンススタイルが確立、多様化した20世紀は、映画や音楽と共に世界中に広まった時代です。ビル・ボージャングル・ロビンソンは、1930年代に映画で活躍したタップの神様です。アメリカでは誕生日にちなみ、5月25日が特別な日になっているほどです。ビル・ボージャングル・ロビンソンの活躍は普及に貢献していますし、ダンスの魅力を伝えた功労者なので、神様と崇められているのも納得です。ボールタッチやボールドロップ、トウドロップといったステップが豊富なのは、このような先駆者達がいたからこそで、その結果現在の表現の幅が広がったと考えられます。